私は、日本の監督の中で、是枝監督が最も好きです。
是枝監督の映画は、作りがとても自然で、ストーリーの流れも良く、観ていて違和感がほとんどありません。
さて、今回の映画「真実」は、是枝監督初のフランスでの作品。カトリーヌ・ドヌーブやジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディビーヌ・サニエなど、国際的スターが終結した今作はどんな仕上がりになっているのか!?
さてさて。
世界的大女優が出版した自伝本「真実」。
彼女は何を書き、何を書かなかったのか。
あらすじ
世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版。海外で脚本家として活躍している娘のリュミール、テレビ俳優として人気の娘婿、そのふたりの娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書─。“出版祝い”を口実に、ファビエンヌを取り巻く“家族”が集まるが、全員の気がかりはただ一つ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」
そしてこの自伝に綴られた<嘘>と、綴られなかった<真実>が、次第に母と娘の間に隠された、愛憎うず巻く心の影を露わにしていき―。©真実
「真実」レビュー
【評価】 76点
人は嘘をつく。
相手に対しても、自分自身に対しても、今についても、過去の出来事に対しても。
そして自分にとっての真実を信じようとする。
何が嘘で、何が真実なのか。
人が思い込みたい真実と、実際の真実、嘘だけれど温かな真実。真実にも様々な種類があり、自分の中の真実は、少し心を開くだけで、意外と変わっていくものなのなのだ。
映画の後味は良く、軽やかなので、気分はいい。
これは確かに、オープニング作品としては秀逸なのかもしれない。※「真実」は、第76回ヴェネツィア国際映画祭でオープニング作品に選出された。
とても分かりやすい映画だった。
普通の映画だけれど、この普通さがいい。
特別面白い訳ではないけれど、不思議と見終わった後で、もう一回観たくなった。それが、この映画の良さの表れかもしれない。
確かに是枝さんの映画だったけれど、映画の中に流れている演技や空気はフランス映画だった。演じる人が違うだけで、こうも変わるものなんですね。
こういう空気感の映画は割と好きです。ずっと観ていても疲れない映画でした。